作家直販サイトの構築・顛末記(8)

作家直販サイトの構築・顛末記(8)

作家直販サイトの構築・顛末記(7)の続き。

「販売作品(Sell Media)」の設置中に遭遇したトラブルシューティング

Sell Mediaを日本国内で使用している人はいなかった(と思う)ので、前例がなく、設置方法やトラブル対策は自分で解決するしかなかった。日本語辞書を作ることから始めたわけだが、日本語環境という特殊な事情もあり、たびたび問題にぶつかった。

自力で原因を突きとめられることもあったが、どうしてもわからないことは開発元に問い合わせたりした。もちろん、英文で(笑)。
開発元にとっても、日本語環境で使われることは初めてだったわけで、モデルケースになったようだ。

最終確認として、システムがちゃんと機能しているかどうかは、実際に作品を購入する過程をやってみる必要がある。
そこで、価格が10円の設定を作り、サンプル画像を自分で買ってみる。

そのために、新たにPaypalのアカウントを作った。サイトの決済に使用しているアカウントでは購入できなかったからだ。また、Paypalに登録するクレジットカードも重複していると使えない。
そこで、通常使うアカウントから、複数登録しているカード情報のひとつを削除して、新しいアカウント用に登録し直した。

これでテスト。

ここで問題発生!(苦笑)

トラブルの中でも、なかなか解決できなかった大きな問題は2つ。

(1)Paypalとの連携がうまくいかない。
(2)ダウンロードページが機能しない。

この問題の解決のために、開発元と何度もやりとりして、向こうの担当者もいろいろと検証やテストしてくれた。

(1)Paypalとの連携がうまくいかない。

この問題は「顛末記(2)」でも書いたことだが、Paypal決済して、支払い完了通知とともにダウンロードURLを記載したメールが届けられるとき、そのメール内のダウンロードURLが空白になってしまうという症状だった。

決済は正常に行われているが、ダウンロードページが記載されないのでは話にならない。システムの根幹にかかわる問題だった。

結論からいうと、これは日本語環境特有の問題だと判明した。

顛末記(2)のプロフィール設定」にある、「Paypalアカウント設定4番目の「販売ツール」の設定」が解決方法だ。
言語エンコードを、UTF-8にする。

Paypalの日本語サイトでは、ここの言語設定は「日本語」がデフォルトになっている。日本語になっていると言語エンコードがShift-JISなのだが、これだとアメリカ製のSell Mediaは機能しない。Shift-JISを使うのは日本だけだからだ。

日本語は世界的にはガラパゴスな言語だから、そのための規格のShift-JISも今やガラパゴスだ。昨今では、日本語サイトであっても言語エンコードはUTF-8が標準化されつつある。当サイトもUTF-8になっている。
かつては、Shift-JISが日本語サイトの標準とされていたが、Shift-JISだと表示できない文字もあったりするため、UTF-8が使われるようになった。世界標準ということでは、UTF-8が標準であり、Shift-JISはWEB上では衰退するのではと思う。

UTF-8にすることで、Paypalとの連携は正常になったが、解決策を特定するのに開発元とのやりとりで数日かかってしまった。

(2)ダウンロードページが機能しない。

PayPalとの連携がうまくいき、ダウンロードURLもちゃんとメールに記載されるようになり、これで使える……と思った矢先。

今度は、ダウンロードページからダウンロードしたファイルがおかしい。
ファイルサイズが0KBで、「空」なのだ。
サイズ別の選択をしていれば、リサイズしてダウンロードできるはずなのだが、どのサイズでも空ファイルになってしまう。

なんじゃこりゃ〜〜(怒)

開発元に問い合わせるが、初めてのケースのようで、向こうも原因がわからないという。
サーバーのエラーログを確認してもらっても、これといってエラーは出ていなかった。
FTPとWordpressのダッシュボードへのアクセスを許可して欲しいというので、権限を付与して私のサイトの中身をチェックしてもらった。しかし、それでも原因がわからない。

あーでもない、こーでもないと、私と開発元の双方でいろいろと試してみるが、解決策が見つからない。
最後の手段として、なにも変更を加えていない、デフォルトの状態に戻して、問題が発生するかどうかを確認することだが……。それをやってしまうと、今までの苦労が水の泡。それはできれば避けたい事態だった。

最終的には、デフォルトに近い状態に戻して検証するのが、ベターな方法だということになった。
まず、現状をバックアップした。元に戻すときに戻しやすいからだ。バックアップのプラグインとして「UpdraftPlus – Backup/Restore」を使っていたのだが、これは万が一のためのものだった。このプラグインは優れものだが、まさか、これを実際に使ってバックアップから復元することになるとは。

WordPressを標準のテーマに戻し、Sell Media以外のプラグインをすべて外した。
これでどうなるかテスト。

うまくいった。Sell Mediaは正常に機能していた。

ということは、問題の原因は、使っているテーマかプラグインのいずれかということになる。
ひとつずつ試していく。
テーマを使っていたものに、再度有効化すると、これは問題ない。ひとまずホッとした。テーマが原因だと、サイトの作り方を根本的に変えることになってしまうからだ。

次はプラグインだ。
けっこういろいろと入れてあったので、ひとつ戻してはテスト……というのを繰り返した。10円課金のサンプル画像ではあったが、10回テストすれば100円。たいした金額ではないが、なんかむなしい(笑)。

サンプル画像をカートに入れ、PayPalで決済。支払い完了通知メールが届き、ダウンロードページでファイルをダウンロードし、ファイルがちゃんとした画像ファイルになっているかどうかを確認するテスト。
テスト……正常。テスト……正常。テスト………と、問題が発生するまで続けた。

そして、とうとう問題の発生するプラグインを特定した!

それは「WP External Links」だった。
このプラグインは、内部リンクと外部リンクをコントロールするもので、外部リンクはnofollowでtarget=“_blank”を自動設定するもの。当サイトにも入れてあって、投稿者がなにもしなくても外部リンクは新規タブに表示される。

これは予想外の結果だった。
開発元はキャッシュ系プラグインかもしれないといっていたからだ。そのキャッシュプラグインは「WP Fastest Cache」を使っているが、これは問題なかった。

なぜWP External Linksが動作エラーの原因になっているのかは不明だが、なにかがバッティングしていたのだと思う。WP External Linksそのものに罪はないが、相性が悪かったということだね。

こうして問題解決するのに、2週間くらいかかった。

かくして、問題はほぼクリア。
晴れてサイトを正式に稼動できることとなった。

「販売作品(Sell Media)」はダウンロード販売以外にも使える

「販売作品(Sell Media)」は、基本設計としてダウンロード販売を意図して作られている。画像のダウンロード販売だけでなく、動画にも対応している。

そして、物販に利用することもできるようにはなっている。そのため、カートページで、個数が複数個入れられる仕様だ。
「販売作品(Sell Media)」を利用して、物販のネットショップを展開することも可能。ネットショップに特化したシステムに比べると、機能的に物足りない部分もあるが、設置や運用は比較的容易だろう。小規模なネットショップであれば、手軽に始められるように思う。

まとめ

自分で撮った写真を自分で売る。
データ販売だけでなく、プリントした写真として売ることもできる。
既存のストックフォトサイトだけが、写真を売る場所ではなく、自分で売ることだって可能なんだ。
それを実現できるのが、「販売作品(Sell Media)」である。

ただし、作家直販だからと売れるとは限らない(笑)。
私も、そんなに楽観的には思っていない。
作品の発表の場としてのサイトであり、同時に手軽に買うこともできるサイトである。販売→決済→ダウンロードまで自動的に行われるので、サイトの管理者としてはノータッチだから、「果報は寝て待て」である。
やるべきことは、写真を撮り、アップロードするだけ。

フォトグラファーとして、ストックフォトのあり方として、新しい切り口になる……かもしれない。
そんな試みである。

(おわり)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です